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空き家問題について

2017年8月 弁護士 宮崎 慎吾


最近「空き家問題」という言葉がよく聞かれます。一言に「空き家」と言っても色々な態様のものがあり、空き家であることが直ちに問題というわけではありません。しかし、近年、問題のある空き家が増えており、それに関連する法律相談も多くなってきていますので、簡単にではありますが空き家問題について書かせていただきます。

 まず、どのような空き家が問題になりやすいかというと、所有者が不明である空き家、所有者がはっきりしていても管理者がいない空き家などが挙げられます。

所有者が不明である空き家というのは、不動産の相続によって生じることが多いです。たとえば、建物所有者が亡くなった際、相続人がきっちりと相続手続をしておらず、時間が経ってその相続人も亡くなって更なる相続が生じ…ということが数代に渡って起こると、もはや誰が不動産の所有者なのか分からなくなり、分かったとしても相続人数十人の共有状態になってしまっているようなこともあります。

また、地方に住んでいる実家の両親が亡くなって相続が生じた場合等、相続人が不動産から遠く離れたところに住んでいて不動産の管理ができないというケースも多くあり、これが管理者のいない空き家を生み出します。

このような空き家が生じることによる問題はいろいろとありますが、もっとも大きな問題は、不動産の管理がなされないことで、不動産の倒壊、損壊等により、空き家の近隣に被害が及ぶ可能性があることです。特に近年、大きな災害も多く、空き家の損壊による近隣への被害はいつ起こってもおかしくありません。

このような被害が起こった場合、空き家の所有者は、被害を受けた人に対して損害賠償責任を負うことになります(工作物責任)。たとえば、両親が亡くなって実家の建物を相続した場合、実家が今住んでいるところから遠くて管理ができないような建物であっても、相続で所有者になった以上、所有者としての責任が生じる可能性があります。

では、相続等で空き家の所有者となった場合、あるいは後になって実は空き家の所有者になっていたことがわかった場合、どのような対策が考えられるでしょうか。必要のない建物であれば、売却してしまう、あるいは解体してしまえば、建物所有者としての管理責任は免れることができます。しかし、相続の場合で自分以外にも相続人がいると、自分ひとりだけでは勝手に不動産を処分することはできません。まず、遺産分割手続によって空き家の所有関係をはっきりさせてから、処分手続に入る必要があります。とは言え、遺産分割手続は長引くことも多いため、その間放置された空き家が、いつ災害によって倒壊しないとも限りません。この点、不動産の修繕等については、共有者である相続人の一部の者が、単独でもできることとされています(保存行為)。したがって、すでに倒壊のおそれがある場合などは、近隣への被害を避けるために、遺産分割がなされる前でも、修繕等に着手できる場合もあります。

もっとも、最終的な解決のためには、空き家の所有関係を明確にする必要がありますが、相続人が多い場合など、解決が困難なケースも多いです。また、空き家対策のための法律もありますが、まだまだ実効的に機能しているとは言い難い状況です。

したがって、まずは問題のある空き家を作り出さないようにすること、そのためには、空き家になる前から、不動産所有者が、不動産の将来を考えて準備しておくことが大事だと思います。 もしかすると自分の不動産も将来空き家問題になるかもしれないとの不安がありましたら、是非一度ご相談下さい。

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