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中国民法典の改正について −民法総則の制定など−

2018年8月 弁護士 上田 倫史

1.はじめに

 本誌でも紹介している通り、日本では、昨年に約120年ぶりとなる民法(債権法)の改正が成立しており、改正法は2020年4月1日から施行されます。

 ところで、隣の中国(中華人民共和国)でも、現在民法典の改正が進められており、昨年には、新たに「民法総則」が制定・施行されております。本稿では、これらの中国における民法典の改正状況について、簡単に紹介させていただきます。

2.中国民法典について

 中国では、以前より民法典の整備が進められており、一応の法整備は済んでいる状況にあります。もっとも、中国には「民法」という名称の法律はなく、下表の通り、分野ごとに個別の法律が制定されております。これらを見ますと、各法律の施行時期は大幅に異なっており、内容面でも、整備が十分でないと思われる規定や、法律相互の一貫性を欠くと思われる規定などが少なからず確認できます。

中国民法典の構成

3.現在の改正状況

⑴ 民法「総則」の制定・施行  このような状況の中、中国では、これまでの「民法通則」に代わる新法として、「民法総則」が新たに制定され、2017年10月1日より施行されています。

 本法では、従来の民法通則をはじめとする各種法令等をベースにしつつ、時代の変化や学説上の議論などを踏まえて、全体的な規定の整備が行われています。例えば、後見、法人、民事法律行為、代理などの分野では、従来からのルールを補充ないし具体化するような条項が多数設けられています。また、本法では、個人情報の保護に関する原則的な規定が新たに設けられ、他人の個人情報の不正な取得・利用を禁止する旨が定められています(本法111条)。

 この他、実務的な影響が大きい改正点として、訴訟時効が2年から3年へと変更された点が挙げられます(本法188条1項)。ただし、中国では、権利者が履行請求を行えば、訴訟提起等を行わなくとも、訴訟時効が中断するものとされていますので(本法195条1号)、この点は日本と異なります(日本では、裁判外の請求だけでは、確定的に時効を中断させることはできないため)。

⑵ 分則(物権法、債権法など)の改正について  中国では、上記⑴の民法総則の制定と併せて、民法典の分則(物権法、債権法など)についても改正作業が進められており、2020年の施行を目標に、法案の審議等が進められております(全国人民代表大会(日本の国会に相当)常務委員会の2018年立法計画)。現時点で、具体的な法案までは公にされていませんが、今後具体的な議論が進んでいくものと思われます。

 なお、これらの改正法の制定にあたっては、日本の知見が少なからず参照されており、法務省において各種の支援が行われています。

(法務省のホームページ http://www.moj.go.jp/housouken/houso_houkoku_china.html)。

4.おわりに

 今回の民法典をはじめとして、中国では、経済発展の促進や国際化への対応などを主眼に、積極的な法改正が行われています。法整備の進度や学術的な蓄積などで言えば、中国は日本を含む先進諸国からはまだまだ遅れているようには感じますが、中国ビジネスを進めていく上では、このような法改正の動向は決して軽視できないものだと考えています。

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