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平成24年 著作権法改正

2013年1月 弁護士 長門 英悟

1 はじめに

平成24年著作権法が一部改正され、平成24年10月1日からいわゆる「違法ダウンロード」が刑事罰化されました。今回は、限られた紙面の中ではありますが、違法ダウンロード刑事罰化の射程について検討していきたいと思います(以下ダウンロードを「DL」、アップロードを「UL」と略します)。

2 構成要件について検討

「違法DL」として刑事罰の対象となるのは、(1)私的使用の目的で(2)有償著作物等の(3)著作権又は著作隣接権を侵害する自動公衆送信を受信して行う(4)デジタル方式の録音又は録画を(5)自らその事実を知りながら行って著作権又は著作隣接権を侵害する行為です。刑罰は、二年以下の懲役若しくは二百万円以下の罰金(又はこの併科)となっており、決して軽い罪とは言えません。なお、本罪は親告罪とされているため、権利者による告訴が無い限り、起訴されることはありません。

以下、各構成要件について検討していきます。

  1. 「私的使用の目的」
     まず、今回新たに刑事罰化されたのは私的使用の目的によってなされるDLです。私的使用以外の目的でなされるDL(営利目的や、他人に公開する目的等)については、既に従来からより重い刑罰の対象とされています。
  2. 「有償著作物等」
     本条は、有償著作物等をDLした場合に適用されます。有償著作物等とは、録音・録画された著作物等であって、有償で公衆に販売・配信されているものを指します。単にテレビで放送されただけで、有償で販売・配信されていないTV番組映像等は有償著作物等にはあたりません。したがって、これらの動画等をDLしても処罰の対象にはなりません。また、本条は音楽又は映像(動画に限る)ファイルをDLする行為のみを対象としており、例えばスキャナー等を用いて違法に電子化され、ULされた漫画や小説等をDLしても刑罰の対象とはなりません。
  3. 「著作権又は著作隣接権を侵害する自動公衆送信を受信して行う」
     本条によって刑罰の対象となるのは、違法に自動公衆送信された著作物等をDLする行為です。自動公衆送信とは、UL行為のように不特定多数人に情報を直接受信させることを目的とするものをいい、特定人へEメール等を送信する行為は含まれません。よって、メールに添付されていた映像ファイル等をDLする行為については、自動公衆送信されたものをDLしたわけではないので、刑罰の対象とはなりません。
  4. 「デジタル方式の録音又は録画行為」
     本条により刑罰の対象となるのは、デジタル方式の複製行為(録音又は録画)ですが、youtubeなど動画投稿サイトを視聴する行為は本罪の対象になるでしょうか。これらの動画投稿サイトにおいては、動画を視聴する際に、動画のデータが一時的にパソコン内に複製(キャッシュ)されるため、この行為が刑罰の対象になるのかが問題となります。この点については議論のあるところですが、文化庁がHP上において、youtube等を視聴する際のキャッシュについては、「パソコンを利用する上で必要な複製」として、著作権侵害には当たらないという立場を表明しています。従って、youtubeなど動画投稿サイトを視聴する行為は本罪の対象にならないと考えられます。ただし、専用ソフト等を使い、キャッシュを取り出してオフラインでも使用できるようにする行為はもはや「パソコンを利用する上で必要な複製」とはいえず、刑罰の対象となりますので、この点は注意が必要です。
  5. 「自らその事実を知りながら行って著作権又は著作隣接権を侵害した」
     本罪は故意犯のみを処罰の対象としています。したがって、当該ファイルが海賊版であることを知らないでDLした場合には、刑罰の対象にはなりません(もっとも故意には「薄々知っていたが、やってしまった」という、いわゆる 「未必の故意」を含みます)。

3 著作権法違反行為を行わないために

著作権法は新技術の発展や社会情勢の変化(TPP加入の影響等)に伴い、これからも改正等が頻繁に行われることが予想されます。適法と思っていた行為が実は刑罰の対象だった、などと肝を冷やさないためにも、ニュースや新聞等でこまめに著作権法の動向に気を配っておく必要があると考えます。

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